環境省結果公表:高濃度PFAS1,330ng/Lを「不検出」まで浄化
当社は環境省の委託業務※1において、「揚水及びフィルターと機能性粉体を用いた処理法によるPFAS地下水汚染の拡大防止技術」を用い、現地での連続的な水質浄化実証試験を実施しました。
技術の処理性能やその安定性等について検討し、ここに結果を公表いたします。
※1:「令和5年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査」対象技術
▽ 環境省公表資料はこちらからご覧ください
低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査(環境省HP)
試験結果の概要
1. 安定性 | 現地実証試験では、PFOS、PFOA、PFHxSの濃度の合算値が処理前の1,330ng/Lから処理後には「不検出」となりました。 |
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2. 処理性能 | 高濃度模擬試験水では、PFAS4種(PFOS、PFOA、PFHxSおよび6:2FTS、それぞれ100,000ng/L)およびTOC共存下での除去率が98.8~99.7%を示しました。 模擬試験水を用いた室内試験の結果、吸着容量はTOCが存在しない条件で58,000µg/g、実環境を想定した3.0mg/LのTOCが共存する条件では14,800µg/gでした。 |
3. 経済性 | 従来技術である粒状活性炭法に比べ、活性炭1 kg当たりの除去率90%以上が維持された状態で処理できる水量が推定で約4倍となりました。 |
4. 二酸化炭素排出量 | CO2排出量は0.2kg-CO2/m3と推計されました。 |
PFAS社会問題について
PFAS(有機フッ素化合物)は、炭素の周りにフッ素が結びついた化合物で、発がん性が疑われ、分解しにくいため「永遠の化学物質」とも言われています。
半世紀以上にわたって日常生活でも使われており、アパレルの撥水加工やフライパンコーティングのフッ素樹脂などに含まれています。
最近では、地下水に溶け出したPFASの汚染がニュースになっており、微量でも有害性が指摘されています。そのため、地下水の浄化技術の開発が急務となっています。
PFAS浄化技術の概要
弊社では、水処理を行うフィルターに機能性材料を粉体化した機能性粉体を積層させ、液体をろ過して浄化する技術を開発しました。この技術は、水質浄化において広く使用されている“粒状”活性炭を用いた方法に比べ、粉末の活性炭をフィルター上に密に積層することで、汚染物質の活性炭への吸着および除去性能を向上させている点が特徴です。
本実証試験で使用した機能性粉体は、飲料水の浄化でも用いている活性炭を使用しています。また、廃活性炭量は従来技術の粒状活性炭法に比べ、約1/3に抑えられています。
一方で、フィルターの洗浄や活性炭の再添着の頻度など、いくつかの課題が残っていますが、今後もこの結果を基に技術の改良を進めてまいります。
装置構成と処理フロー
▽ 図1:現地実証試験でのPFAS浄化フロー
弊社では引き続き技術革新を進め、今後は地下水だけでなく、工場排水や専用水道などを対象としたPFAS浄化技術のさらなる発展に努めてまいります。
▽ 環境省公表資料はこちらからご覧ください
低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査(環境省HP)
本委託業務での使用装置「ECOクリーンLFP」
高精度吸着式水処理装置「ECOクリーンLFP」
独自のプリーツフィルターに粉末活性炭を添着、ろ過することによって
有機フッ素化合物「PFAS」を効率的に除去。
【沖縄県湧水公園のPFAS浄化に採用】
・高い除去効果:従来方法の10万倍の吸着能力
・活性炭廃棄量:1/15に削減
・処理コスト:約1/3 優れた経済性
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